結局、本書はタイトルの質問、「時給が低いのは私のせいですか?」に詳しく触れていないのでよく分からなかった。
小川氏の「最低賃金はせめて1500円は必要」という答えは確認できた。
それは非正規でも社会保険に躊躇なく加入できるための最低額とのことである。
今、日本は労働組合の力が弱いとされる。
時給が低い理由はいくつか挙げられるだろう。労働組合の弱体化もそのひとつであると考えられる。
AbemaTVの感想を書いたときに触れたが、やはり人が集まる職種はいくら賃金が低くても、自動化されない限り経営側の都合上、そう簡単には賃上げは実現されないのだろう。
(介護職など)
移民問題に関しては後半に触れられていた。
こちらも結論としては、「労働力を移民にも担って貰いたい」という方向であった。
しかしながら、受け入れ態勢に課題があるとのこと。
(住居など)
また、移民は若年層が多いので、年齢差別ある採用試験等においては、生活のためにまだ働く必要のある日本の高齢者層が危機に晒されるリスクがあるとのこと。これは切実でありパラドックスでもある。
エネルギー問題は、脱化石燃料化で方向は定まっているとのこと。
ここはテクノロジーや課税が課題だと思われる。うーむ。問題が山積みだ。
ささっと触れたが、日本ほど職に年齢差別のある国はないそうである。
日本独特の現象というのは至るところで見受けられる。
アカデミックな世界には「比較○○学」という分野が無数にある。
単に外国の例を日本に応用するリスクは医学から至る分野にまで存在している。
この状況においては、やはり万能タイプのゼネラリストが国を牽引していかないと厳しいと感じる。
スペシャリストが次々と新しい知見を提供するのは良いが、まとめあげることが政治には大事だろう。
いろいろと考えさせられる一冊であった。
つづく