この本は心理学書として読めると思っています。
それは、死刑囚の家族は総じて問題があるからです。
ただ、家族に問題があるからといって、必ずしも犯罪を誘発するという根拠はないので、数学でいう十分条件のようなものだと認識しています。
この記事では、金川死刑囚の思想がいかに浅はかなのかを語ります。
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金川「人を殺すことは蚊を殺すことと同じ」
金川「善も悪も存在しない」
金川「俺は悟った」
金川「(貴方たちが)人を殺してはいけないと言うのは、あなたたちが洗脳されているから」
といった言葉を残しています。
僕も、同じ哲学書マニア(?)として、言いたいことがあります。
彼は語彙力がないんだな、と率直に思います。
悟った、洗脳、存在しない、etc
小学生でも言えることしか言っていないのです。
例えば、善と悪については、言語学、歴史、社会、政治体制といった、様々な要素が絡んでいて、僕は多元的だと持っています。相対的でありながら多元的という、複雑な面を持っていると考えているのですが、彼はそういった説明ができていないのです。また、善も悪も存在しないならば、そもそもそのような言葉すら存在していはずなのです。何故善と悪という言葉の概念が「先天的」に人間に組み込まれているのかを、彼はちっとも考えていないのです。
人を殺してはいけない。
この命題もかなりややこしいものがあります。
彼は「常識というものは洗脳されたもの」であると切り捨てたまま、そこで思考が止まっています。僕には、考えることを放棄した、としか思えません。
仮に法律上でそう決まっていない場合も、人は人を殺めることにたいして必ず躊躇するはずなのです。その根本的なところから思考をスタートさせないと本質は掴めないと僕は考えています。
彼は既に世の中から消えてしまいましたが、考えることがいかに大事なのか、考えることの放棄がいかに危険なのかを、この本を読み、感じました。
つづく