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エドマンド・バーク『崇高と美の観念の起源』読了+読書日記1320

エドマンド・バーク『崇高と美の観念の起源』みすず書房 (1999)

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感想

 

三重の意味で物足りないものであった。

まずひとつは、文体がやや読みにくい。何を言いたいのか分からない点も少なくなかった。

次に、あくまで主観的な主張から外に行かない。もっと必要な考察があるはずなのに、どこかさらりと終えている印象を抱いた。

自身の力不足もあり、本書からどれくらい引き出しを得られたか、再度ふりかえってみると、やはり物足りない気がしてならない。

しばらく再読はするつもりもなく、本書の読書時間のなかでは次に読む古典は決まらず、模索するにとどまった。

 

メモ

 

甘い=滑らか=弛緩=解放=快

上下運動は直線運動よりも弛緩の効果が強い

⇒赤ん坊を適度に揺すると眠りやすくなる

 

バーク「塩は立法体、砂糖は球体」

"かくして甘い液体においては液状の媒質の各構成部分は恐らくは円形に違いないと思われるが、しかしそれは最も高性能な顕微鏡の検索によっても構成部分の形状が把えられぬほど微細であり、そしてこのように極端に微細である結果としてちょうど滑らかで平らな物体が触覚に与える効果と似通った一種の平板な単純さを、味覚に対して及ぼすのである。" P166

 

バークは甘味は触覚の観点からみると、球体のなめらかさによって生じるということを言いたいのだろう。

しかし、これは科学的に正しいのか?

これは調べなければならないが、砂糖の結晶をみると球体とは思えないのであった。

 

第五編は言葉と観念についての考察であった。

「映像を生み出すことなしに作用する言葉の実例」では、詳しくは分かりかねたが、「観念(あるいはイメージ)」と「言葉」がどのような相互関係にあるのかを考察するものであった。

現代哲学風に言えば「実在論」や「観念論」の内容と言える。

 

「犬」という言葉からは犬の「イメージ」が想起される。

言葉(=観念)が先か?実在が先か?

言葉なしに認識は成り立ちえないと考えればそれは前者になり、認識と言葉は独立していると考えればそれは後者に近いかもしれない。

バークは第五編でそういう話を展開していたと記憶している。

これを掘り下げると「存在論オントロジー)」へと向かいそうだ。

 

これはこれで面白い考察だとは思う。

しかし今自分の関心はそこではないな、という感触を覚えた。

 

つづく

 

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読書日記1320

読んだ本

ヴィリエ・ド・リラダン『残酷物語』水声社 (2021)

池田晶子『オン!埴谷雄高との形而上対話』講談社 (1995)

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日記

『残酷物語』

リラダンという名前をどこかで聞いたことがあったので手にとってみると、風刺の利いた小説という内容ということで、「天空の広告掲示」など、数編の短編を読んでみた。

空に広告を投影できるようになると何が起きるのか、という思考実験めいた内容であった。

いわゆるデカダンス小説というものらしい。

なかなか面白く、集中して読めた。

 

・・・

『オン!埴谷雄高との形而上対話』

これを読んでいてプラトン全集が読みたくなってきた。

「無」をいかに語るか。それは無とは何かという切り口から語り、云々と、どこまでも形而上対話が展開されていった。

 

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関連図書

 

池田晶子の本

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