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読書日記と哲学がメインです(毎日更新)

読書日記1223

読んだ本

ミシェル・ファインマンファインマン語録』岩波書店 (2016)

池田晶子『事象そのものへ![ 新装復刊 ] 』トランスビュー (2010)

リュディガー・ザフランスキー『ロマン主義:あるドイツ的な事件<新装版>』法政大学出版局 (2023)

ヴォルテールカンディード 他五篇』岩波文庫 (2005)

福嶋亮太『書物というウイルス:21世紀思想の前線』blueprint (2022)

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日記

 

池田晶子の文章に圧倒されるが、「いや、さすがにそれは、、」と思う瞬間もあった。

 

"極端にいえば、核戦争によって人類が絶滅することが、なぜ避けられるべきことなのか、誰にとって望ましくないことなのかが、最後のところでよくわからないのだ。絶滅が望ましいと言っているのではない。「それがどうした」と思ってしまう一点が、どうしても残るのだ。" P189 (『事象そのものへ!』)

 

このギャップはいったいなんだと、先程お風呂のなかで考えたところ、「理性ー感情」の二項対立で説明がつくように自分には思われた。

 

 

池田晶子は感情論というものについて、「理性の域からはみ出た分に応じて感情論となっていく」と書いていたが、その逆もあるということに池田晶子は気づいていないのだろうか。そう思えたのであった。

つまり、感情というものから遠ざかっていく分に応じて、それはどこまでも機械的な、中立的な思考となっていく。

 

 

"事実から価値は決して導き出されない。" P189 (『事象そのものへ!』)

 

 

人間は事実を理解でき、かつ価値についても理解できる。

理性と感情は相容れないのかもしれないが、矛盾というものが何故「在る」のかというと、まさにこの対照的な存在が統合しているからだろう。

理性だけで考えれば価値は無いものと見えるのは致し方がない。

理性と感情の間を往復する振り子がたまたま理性に寄ったに過ぎない、と思いたい。

 

・・・

 

『書物というウイルス』のなかで、マルクス・ガブリエル『新実在論』について触れられていたが、やはり彼も池田晶子と同じ考えを共有していると感じた。

 

 

高速道路で例える。

車(=ニューロン)が絶え間なく巡回している。

だからといって、全体(=高速道路)に意識があると考えるのはあまりにも馬鹿げている。

しかしニューロンは違う。

ニューロンは脳内を絶え間なく巡回しているが、ニューロンとは別物の「意識」が生まれる。

高速道路に意識が宿るくらい有り得ない(=不思議な)ことである。

 

 

マルクス・ガブリエルの実在論もこの考え方に依拠している。

つまり、意識は物質に還元されないという立場である。

 

池田晶子も言う。

"仮に「考える」という機能が近代科学の常識がそうだとしているように、大脳における神経伝達物質の諸作用に還元できるとしよう。しかし、そう考えているその考えもまた同時にその物質群の作用であると考えるのが困難である限り、精神とはやはり、いつも肉体をはみ出してしまう別の何ものかだとしか思えないのではないか。" P194 (『事象そのものへ!』)

 

・・・

ファインマン語録』

メモ

 

"高校生のほとんどは大人らしい考え方をしていると思うね。なぜって(高校時代の)ぼくの友だちには文学が好きで、たとえばものを書いたり、戯曲を書いたりする連中がいたが、彼らは子供のための劇なんかでなく、偉大な戯曲を読んでいた。みんな同じことだよ。高校で優れている連中は誰でも、真実をしっかり見なくちゃならないことを、すでに知っているんだ。" P47 (『ファインマン語録』)

 

・・・

ロマン主義

ゲーテが哲学者たちと意見を異にしている点が興味深かった。ヘーゲルとカントはフランス革命を肯定しなかったにせよ、何らかの時代の幕開けと見ていたが、ゲーテはうんざりしていた。

 

"ゲーテがひどく不快に感じたのは、まさにこの政治的に興奮した状態だった。彼にとって革命とは、大衆時代の始まりという繰り返しのつかない事態に他ならなかった。" P28 (『ロマン主義』)

 

"しかし、ゲーテが恐れたのは革命の無理な点ばかりではなかった。(・・・)政治は全体としての社会の諸問題に関わる。これは、己の利益のみに従うのではなく、全体に対して責任を負える思考法が前提になっている。しかしゲーテによれば、普通の人間はそのような観点にまで身を高められず、それゆえ扇動者に操縦される群衆と化してしまう。大衆の政治化は嘘をつくこと、つかれること、そして自己欺瞞を助長する。(・・・)社会の改良を望みながら、自分自身の向上は拒否する。" P29 (『ロマン主義』)

 

政治について言えることは、自分には特にない。

政治について何か言えば言うほど自分も政治の毒に犯されると思われるからである。

ただ、政治について勉強することを否定はしない。

 

つづく

 

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