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読書日記931

読んだ本

引用元:版元ドットコム

引用元:版元ドットコム

『二十一世紀への対話 (上) 』聖教ワイド文庫 (2002)

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日記

 

宗教・哲学・資本主義・文明論・文学・心理学・民俗学・人類学・歴史・教育・政治など、今まで学んだことを束ねる読書時間を過ごした。

執行草舟氏の本は10冊ほど読んだが、トインビーの話が頻繁に登場する。

そんなトインビーは、自らの意志で創価学会名誉会長の池田大作氏との対談を希望し、1974年に対談が行われた。

トインビーの名著『歴史の研究』を全部読む気力が無いのでどうしても執行草舟氏の受け売りになってしまう点が個人的には納得できなかったので、二人の対談からひとまず自分のなかで整合性を保ちたいと思った。

 

・・・

 

執行草舟氏によれば、ルネ・ジラールは「人類の営みは全て神への模倣から生まれた」と述べたそうである。

ルネ・ジラールもまた、宗教や哲学に関して深い思索を行った人物であり、これもまた執行草舟の受け売りにならないためにも、まずは『世の初めから隠されていること』を読むことを決意した。

こちらの本はまず模倣と暴力の関係について語られたが、まだまだ到底理解には及ばない。

自分なりに咀嚼できてから感想を書きたい。

 

・・・

 

トインビーと池田大作氏の対話は非常に高度なものであった。

ひとまず160ページほど読んだ。

マルクスレーニンデカルトフロイトユングなどの哲学的な話やトルストイドストエフスキーなどの文学的な話なども語られた。

 

 

世の中は「役に立つもの」が優先される向きにある。

サルトルが「文学は飢えた人間のまえで役に立つのか」といったことを述べたが、サルトルを肯定する者はニヒリストであると池田氏は語る。

ツルゲーネフの文学もニヒリズムであると言われる。

 

 

ロシア文学は政治的背景上、歴史的には文学の価値を社会的価値へと還元しようとする向きがあった。(トルストイが顕著)

 

 

トインビーによれば、トルストイの文学的営みの特徴は前期、後期と分かれるそうである。

後期が社会的価値を目的としたものであったとされるが、結果的には前期の作品が社会的価値を持つ帰結になったとされる。

 

 

科学も同様に、実利性を重視すると逆説的に事はうまく運ばないという見解をお互い確認し会う。

従って、「表現の自由」という側面から考えると、特定のイデオロギーを持った国家権力が文学に価値を持たせようと国が先導することは望ましくないと池田氏は語る。

 

 

・・・

 

執行草舟氏は物質至上主義をヒューマニズムの観点から、環境の観点から、宗教の観点から批判する。

その主旨はこちらも概ね同意する。

今日の段階では、まだまだ語れることは少ないが、ニーチェ「神は死んだ」の重みというものを非常に意識させられた。

 

 

これはトインビーと池田大作氏の問題意識、執行草舟氏の問題意識、全て一定程度は共有されているものだろう。

科学万能主義が人間を神になった気にさせ、地球のあらゆることを人間が支配できると思う傲慢さを生み出してしまう。そこにどうしても危機感を覚えざるを得ない。

 

だいぶまえに読んだ西部氏『虚無の構造』とも繋がるテーマであるようにも思えた。

その他、複数の本とも接続し得る、非常に深い話であった。

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