以上の二冊を串刺しして感想を書きたい。
さて、理想的な政治とはそもそもなにか。
抽象的には全員が幸せになれる社会、あるいはそれに限りなく近い社会を実現できる政治である。
ところが現実はそうではない、というお話であった。
問題点としては、民族主義による仲間意識や理性の力が働きにくい社会的なメカニズムがあるとされた。
結論としては、理性を限りなく行使し、功利主義に近い形態のものに収束していく可能性が高い、そのような内容であった。
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ここにある種の傲慢さが隠れているように見えるのである。
理性でなんとかしよう、管理しよう、統制しよう、という具合に。
究極的には生き方は個人で確立していくべきである。
また、経済的に豊かではない国であっても、幸福度が相対的に日本より高い国などいくらでも存在している。
政治でなんとかしてやろう、という発想の転回が必要である。
つまり、政治理論、政治哲学にハマっているようではその蟻地獄からは抜け出せないということである。
政治ではなく別の手段で解決すべきなのである。
今日、ベイトソンが再評価されているのはそういう背景があるからかもしれないと思うのである。