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読書日記543

読んだ本:

ジョルジョ・アガンベン『私たちはどこにいるのか?』青土社 (2021)

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メモ

 

例外状態・・・アガンベン憲法上の数々の保証を単純に宙吊りにすること」

 

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日記

 

本書は余白があり1ページあたりの文字数がそう多くはないため、80ページほどさくっと読み進めた。

いうまでもなく、本書はコロナ禍と統治に関する内容となっている。

 

 

アガンベンはイタリアの哲学者である。

イタリアはロックダウンが行われ、行動制限があった。

イタリア人なりの考え方というものを(アガンベンがどれほどイタリア的かは不明ではあるものの)垣間見ることができた。

 

 

「喫煙ファシズム」と同じような意味合いで「健康教」という言葉が本書で使用されていた。

「明確化されないリスク」という名目のもと、人々は「自由」を差し出した。

もはや人々は「剥き出しにされた生」以外何者も信じなくなった、とアガンベンは書いている。

 

 

そして、この例外状態が恒常的に進むなか、重要な問いはタイトルの通り、「私たちはどこにいるのか?」であることをアガンベンは述べた。

 

 

以上までが80ページほどの内容のざっくりとしたまとめである。

 

 

おそらく、間接的には「憲法でさえも、例外状態においては宙吊りにされてしまう」ことの危険性を訴えたかったのだと個人的には思う。

健康であることは勿論大事ではあるが、倫理的な混乱が起きた。

ソーシャルディスタンスが強く求められた2020年頃のイタリアはデモや集会などあらゆる活動が中止されたと書いてあった。

 

 

その善悪については断言できないが、ただ生きていさえすれば人生は善いものだ、と無条件に肯定するのではなく、人間らしさ、生の充足について考えなければならないということが伝わってきた。