ゲーデルの不完全性定理によれば、矛盾の無い理論体系は不完全であり、逆に矛盾がある理論体系でないと完全ではない、という奇妙な論理が存在する。
この宇宙が完全であるとすれば、では矛盾があるのが当たり前ではないか。
というふうに考えざるを得ない。
「世の中は矛盾で溢れている。」
いや。逆じゃないか。
つまりは、
「世の中は矛盾でしか成り立つことはできない」
これはゲーデルの理論的には真ではないか。
現実に、世の中は矛盾で溢れているのだから正しいようにみえる。
矛盾のない人が仮に存在したとしても、やはり不完全ではないか。
過去から現在に至るまで何一つ矛盾のない事しか言わないのだから。
つまりは、変化のない不変的存在。学習のない存在。
粗探しが大好きな人は矛盾をついて優越に浸る。
でもこれは逆説的に、矛盾があることは完全であることの条件なのだから、彼は無矛盾性のないことの証を相手に提出する。
という屁理屈に屁理屈を重ね、何事もうまくかわす。
鉄人とは哲(学)人なのだ。
つづく