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感想
著者いわく、近年では都心を中心に書店が増えているそうである。
ジュンク堂や八重洲ブックセンターの閉店ニュースを見ると大手でさえも苦戦しているが、恐らく経費との採算が合わなくなっただけであって、本を読む人の母数はそこまで変わっていない。逆手にとって、普通はブレーキを踏む場面で敢えてアクセルを踏める人が、遍在する需要をうまく満たしているように感じた。
ライオン堂の店主は文学や物語が好きだということが書かれていた。
まだ足を運んだことはないが、きっと普段は目にすることのない外国の文学作品や、隠れた宝のような小説が置いてあるのだろうと想像される。
店のドアが本をめくる仕様になっている写真が非常に印象的であった。
移転前の旧白山店はカフカの家を模しているというこだわりであった。
文学が相当好きなんだなという気持ちが伝わった。
・・・
本屋は薄利である。
こればかりはどうしようもない。
それでも店主は書店の母数を増やすことが大事だと語る。
自分は読んでいてやはり本屋をやってみたいとは思えなかった。
本を売ることと読むことは全く違う。
どのように本を広めていくのか。
どのように本を薦めるのか。
どのような売場にするのか。
どのような出版社からどのような本をどのくらい仕入れるのか。
店主のように「どんな手段を使ってでもぼくの本屋を生き残らせる」という強い情熱がないと絶対に務まらないように思えた。
「本を買ってもらうことよりも読んでもらうことのほうが難しい」
自分もそう感じている。
図書館が日本中にたくさんあるが、読まない人は読まない。
しかし、本を読むと人生が豊かになるという見解は店主も自分も、また一般的にも共有されている。
だからこそ視覚的に、どういう本があるのか、それを読むとどのようになるのかを訴えることが大事であって、それがインターネットではなかなか出来ないからこそ需要は遍在している。
だからその一点を突き抜けることができたら軌道に乗れる。
しかしそれにはやはり絶対的な情熱がなければ務まらない。
自分は本屋で生計をたてるつもりはないが、本という文化財を継承したい一人の人間として、たびたびこの問題に悩ませられる。
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