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模倣・富・幸福

考実験にこういうものがある。

脳にある装置を取り付け、日常で体験できる恋愛や感動体験から得られる幸福感、快感と同じものをボタンひとつで得られるとすると、このボタンで幸せになれるのか、という問題である。

 

 

今のところの僕の答えはイエスである。というのも、強力な反論の材料をまだ持ち合わせていないからである。

現代社会は「擬似体験」で溢れている。わざわざ例をあげるまでもない。

 

 

僕はそれを「擬似的なもの」と認識した上で没入する。

それで快感を感じることができればわざわざ危険をおかすリスクも避けられる。

 

 

これは現代人へ突きつけられた問いでもあるように思われる。

何がリアルで何がリアルでないのかの区別がつきづらくなっている。

 

 

これは、突き詰めると「限界効用」へのチャレンジにもみえる。

富が幸福度に直接影響を与えるのは、それが究極的には人間の内面に直結するからであると思われる。

先程の思考実験は、究極的な問いかけである。

 

 

模倣としてのリアリティーが極限をむかえると、全ての経験が万人にとってアクセス可能になり得るのである。

パスカルは言った。

「模倣としての芸術ほどくだらないものはない」

 

 

届かずとも目の前の現実に立ち向かうか。

諦めて模倣的リアリティーに没入するか。

僕は前者を取りたい。

つづく