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感想
池田晶子は「狂気の宿らない学問などクズに等しい」ということを書いていたが、狂気が小室直樹という人間に宿ったがゆえに、こうして語り継がれるような存在になったのだと感じた。
また、志というものがいかにして行動へと変換されていくのかも随所にわたって確認することができた。
換言すれば、本書を読むことによって志のない人間が普段どういう行動に出るのかが自ずと分かるように感じた。
小室直樹という人物は、志が大きすぎるがゆえにまわりがよく見えない事も多々あったが、このデメリットは些末なことをほとんど気にしない点でメリットとなっているように思われた。
小室直樹という人物は「おかしな人」という形容詞を与えられることもあったが、学問の世界では誰もが認めるほどの実力を持っていたのは、常に学問のことを、世界のことを考えていた証だと感じた。
あまりにも学問のことを考えすぎていたので他のことはほとんど気にしないという強さを持っていたのだろう。
前半は『危機の構造』(ダイヤモンド社から出ている本であり、小室直樹の懸賞論文。応募総数1000本のなかから選ばれ、本になった)が生まれた背景やゼミの内容がメインであり、ひとまず1970年代の活動に焦点を当てられていた。
豪快なエピソードが多々見受けられた。
あまりにも面白おかしく、STARBUCKSのなかで吹き出しそうになってしまった。
マスクのおかげでなんとかごまかしが利いたのが幸いであった。
とても面白く、そして何よりもよみやすいので社会学や経済学に興味があるかたに是非おすすめしたい一冊であった。
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