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感想
20世紀のショーペンハウアー、文学界のグレン・グールドと書かれていたので気になって読んでみたものの、この小説ばかりは少々退屈なものであった。
そして改行が一切なく、500ページ弱延々とつづく。
始終、主人公は家族や社会に対して否定的で虚無的な思想を抱いている。
共感できる部分はあったが、あまりにも最後まで虚無的であったので、ただただ絶望しきっている様子しか伝わらなかった。延々とつづく愚痴を聞いているイメージである。
ユーモアが僅かにただよっているのでなんとか最後まで読めた。
義弟のことを「ワインボトル用コルク栓製造業者」と呼んでいるところに、ユーモアがありつつも、拗らせきった中二病感が否めない。ただ、稀に笑いを誘うところもあったので、あれはあれで面白かったのだと思っている。
実際トーマス・ベルンハルトは学校があまりにも苦痛だったので地下にある食料品店に勤めるようになったそうである。
オーストリアやカトリックに対する痛烈な批判をところどころで滲ませていた。
ヨーロッパの些末な事情について多少なりとも知ることができたので、読み終わって損した気分にはならなかったが、正直なところ自分にはこの作家は合わないと感じた。
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関連図書
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