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感想
2022年、最後はこの本を一読して終わりを迎える。
自分は今年、「不確定性原理」というものに惹かれた。
ポスト構造主義における議論の対象もまた、言葉の意味が「決定不可能性」であるという重なりから、興味を持たざるを得なかった。
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本書によれば、素粒子の「位置」と「速度」が同時に定まることはないのだそうである。
これは言語にも言える。
つまり、「言葉」と「意味」が同時に定まることはない。
ベイトソンのダブルバインド、ド・マンのいう「アレゴリー」である。
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個人的に、2022年後半はアドルノへの関心が高まることとなった。
アドルノ『ミニマ・モラリア』という本のタイトルを見れば察することができるように、人間の理性に対してはあまり期待してはいけないというメッセージだと個人的には解釈している。
2022年は否定的に物事をみていく年であった。
ハイゼンベルクをとりまく科学者は核兵器を生み出し、物理的な「不確定性」は言語上の「不確定性」も予感させ、金融市場に対する不安、将来の「不確定性」へと連結されていくようにみえる。
2023年はもっと謙虚に、あせらず、じっくり進みたい。
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