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感想
この本を書いた適菜収という人は面白い。文章は罵詈雑言ではあるが、痛快、明快、論理がしっかりしていて一貫性がある。
本書は学術的な方面からの引用が多いので、編集的な側面を持っている。
(ゲーテ、ニーチェ、小林秀雄、アーレント、ジョージ・オーウェルetc.)
現代政治は非常にややこしいが、人間の本質に迫ればある程度簡略化して物事を書けることもなんとなく伝わった。
古典はもう過ぎ去った過去の古い考えだ、というありがちな考えを常に疑うことの大切さも理解できた。
他の人も言っているように、物事のほとんどは古典によって語り尽くされているような印象を持った。
ゲーテが、人間は年を取っていくと実在論者⇒観念論者⇒神秘主義者になっていくと話していた箇所が印象的であった。
ただ、それは一般的な人の感覚からはズレているような気もした。
著者は政治的な主張は少なく、むしろ冷静にピント外れの論理を本質から揺さぶることに重点を置いているように感じた。
言葉は汚いが、むしろ真面目な本であるように感じた。