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読書日記と哲学がメインです(毎日更新)

読書日記419

ラトン『ラケス 勇気について』講談社学術文庫 (1997年) を読む。

どうやったら子供に早く立派になってもらうことができるのか。

教育について、ラケスたちはソクラテスに問う。

 

 

ソクラテスは議論の細部を語る。

人は何かを学ぼうとし、それが身に付いたときに人は一段階成長する。

このことに関してまずソクラテスは前提条件等を一般化する。

学ばれるものをAとし、学ぶ者をBとする。

まず、BがAを得ようとするとき、そのAがBにとって善いものであることが前提である。

言い換えると、力を付けようとする場合、その力が何であるかを知っていなければ意味を成さない。

 

 

ソクラテスはAを視覚、Bを目として説明した。

その後、教育に話を戻し、結局のところ「徳」とは何かを知らなければならないという流れになる。

以上までが50項までの内容であった。

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他のプラトンの本でも、徳とは何かという問いがなされている。

別の本では徳とは「知」であるというものであった。

 

 

イデア論は終わりがみえない。

それが「問い」の非有限性でもある。

結局のところ、おそらくプラトンですらも本当の事はよく分かっていない。

数学でいうならば、イデア論は極限でいう「発散」であって、答えは「収束」しない。

故に考えることは尽きない。

問いは無限。

それは、常に問いつづけることの「意味」でもあるだろう。

 

 

つづく

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関連図書

 

プラトン『国家』

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プラトン『メノン』

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プラトンプロタゴラス

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プラトンゴルギアス

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読書日記418

ランツ・カフカ『城』のつづきと、

中島義道哲学の道場』ちくま学芸文庫 (2013年) を読む。

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カフカの文章(あるいは翻訳者の)は読みやすい。

100項まで読み進める。

長い物語ではあるものの、ようやく中間地点が見えてくる。

 

 

中島氏の言葉は時にユーモアがあり、時にトゲがある。

本書では哲学がいかに難解なものかが語られる。

確かに、中島氏が学生時代に受けた講義の内容をみてみると気が遠くなる。

 

 

ただ、希望も与えてくれる。

哲学というものはその独自の特性上、何歳からでもすることができる。

哲学の難しさについては語るが、哲学を学ぼうとすることは否定しない。

聞けば、東京大学には60歳を超えても哲学の大学院に入学してくる強者がいるようである。また、中島氏は必ずしも哲学の学士を取らなければならない、とは言わない。

 

 

個人的にはやはり哲学の大学院には興味はあるが、第二外国語を究めなければならないのと、研究上の必要性から、読みたくないものまで読まなければならない環境に耐えられる自信がないので尻込みしてしまう。

 

 

つづく