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グレゴリー・ベイトソン『精神の生態学へ (中) 』岩波文庫 (2023) 読了

グレゴリー・ベイトソン『精神の生態学へ (中) 』岩波文庫 (2023)

つづきを読み終えた。

 

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感想

 

中巻の内容は想像以上に重厚なものであった。

とりあえず読みきることに徹したため、最後の章「自己なるもののサイバネティクス」はほとんど理解できなかった。

 

・・・

 

「学習の学習」

本書に始終こういった表現が多用されている。学習というものをメタ的に、文脈的に捉え、行動というものがいかに「学習」によって動かされている(もしくは支配されている)のかが理解できた。

本書の魅力は、心理学の教科書にはない視点で様々な事象について斬り込んでいる点にあるように感じた。

 

 

チャイムを鳴らすとエサを落とす。これを繰り返すうちにチャイムを鳴らすだけでよだれが出る。(パブロフの犬

次に、ベルを鳴らしてもエサを落とさないようにする。これを繰り返すと実験の前の状態に戻っていく。(消去)

ただ、ここまでの流れを「1セット」として実験を設定すると、「条件付け⇒消去⇒条件付け⇒消去・・・」という「法則」が生まれる。

この法則を「学習」することこそが「学習の学習」というものであった。

また、「学習の学習」はベイトソンのいう「学習Ⅱ」にあたる。

 

 

また、ベイトソンの学習理論には「学習Ⅲ」というステージも組み込まれている。

ここからが非常に難しいところなのであるが、学習Ⅲのややこしさは「「学習の学習」の学習」であり、「学習の学習」が増大したり、制御されたり、減少するという、3パターンが発生する点にある。

「ストレス」と人が指すものは、おそらくこの「「学習の学習」の学習」によって身体的に疲れたり、精神的に負荷のかかるものだろう。この学習理論的には、統合失調症は学習Ⅱから脱出するための「本能」が働いた結果なのかもしれない。

かなり抽象的で、ここは下巻を一読しなければあまり理解できないように思えた。

 

 

人間関係の袋小路はこの学習理論と大いに関係があることは想像できる。

この複雑な社会をダブルバインド、学習理論、サイバネティックスなど多角的に斬り込む本書は非常に魅力的であるが、理解するには相当の集中力と心的エネルギーを要するところが難点である。

明日は下巻を読むのをやめようかなと思うくらい、今日はかなり本書に時間を費やした。

 

つづく

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