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読書日記246

リーコリンズ/ロバート・エヴァンズ『民主主義が科学を必要とする理由』法政大学出版局(2022年)を読む。

専門家の政治的な位置付けに関する考察がなされている。

名古屋大学出版会『専門知を再考する』のつづきとも言える本となっている。

 

 

端的にいえば、理論家と実践家の配分をどのようにすべきか、という議論である。

化学薬品に関して詳しい専門家とはいえ、現場でそのように使われているのかまでは知らない。

当たり前ではあるが、どのように適切に使用すべきか、という問題においては理論家は完璧な答えを用意することはできない。

 

 

哲学の分野に関しては、例えば政治哲学は「国家はどうあるべきか」という結論について、仮に存在するにせよ「証明」までには至っていない。

 

 

この状況のなかにおいて、どのようにバランスが望ましいのか。

世界大戦をもたらし、核の脅威が現実となっている昨今、科学は本当に必要なのだろうか。

著者は、それでも科学は善であるということを「啓示」することはできるとしている。

本書はやや込み入っていて、重要なポイントを捉えきれるか個人的には不安だが、読むに値する本であることは間違いない。

 

 

つづく