吉田敬『社会科学の哲学入門』勁草書房(2021年)を読む。
まず、ひとつ訂正したい。
本書によれば、フロイトの精神分析は反証ができないので非科学的であるとされる。
反証可能性という概念は、科学における考え方であり、非科学的な理論には適応できない。
この記事では相手の言説を正しいと仮定して、そのうえで検討すべきと書いた。
その点は正しい。しかしながら、反証可能性はあくまで科学をふるいにかける手法であることを強調したい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本書の導入部分では、ヴェーバーやミル、ホッブズ等が行ってきた研究方法を、「存在論的個人主義」「存在論的集団主義」「方法論的個人主義」「方法論的集団主義」のカテゴリーに分けた。
・「社会は概念であって、存在しない」と主張するのは「存在論的個人主義」
・社会を説明する為に、やむを得ず社会という存在を否定して論じる仕方⇒「方法論的個人主義」
僕は今のところ、社会というものは観念にすぎないと考えているので「存在論的個人主義者」となる。
このブログでは度々社会について論じてきた。
社会科学というものは奥が深い。
学術書ではなく普通の読み物として、是非おすすめしたい本である。
つづく