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松本俊彦『誰がために医師はいる クスリとヒトの現代論』読了

ちらを読み終える。

 

nainaiteiyan.hatenablog.com

 

 

この本を読んで分かったことは、人を信じることができなくなると危険であるということであった。

いじめを受け、かつ大人が信じられない状況になると、誰も信じることができなくなり、物質に依存する。

これが本書に書かれているほとんどの物語に共通して言えることだと理解することができた。

 

 

タイトルに「クスリとヒト」とあるように、苦しみの渦中にある人にとって、この両者は磁石のようにくっつく関係にある。

本書ではそのなんとも言えない相互関係が切なく語られる。

 

 

原因はなにか。

これは非常に複雑であるようにみえる。

例えば、2000年頃の精神医学は僕自身も現在服用している「パロキセチン」がアメリカから日本に流れてき、その効果が期待されてきたこともあってか、安易に処方することによって薬に依存し、独断でオーバードースに至り依存するようになる患者が増えた。

アディクション」は構造も種類も様々で、これは確かにとらえどころがないと思ってしまう。

 

 

現在は幸いにも、認知行動療法など、薬に頼らずに快方に向かうやり方も増えている。

とはいえ、まだまだ発展途上である。

ヒトとヒトとの関係が希薄化することによってヒトとクスリがくっつくようになる。

これは間違いないだろう。

 

 

医療も課題が多いと感じさせる一冊であった。

 

 

 

つづく