プラトン『国家 (上) 』岩波文庫を読み終える。
最大国家という全体についての輪郭は400ページまでに隙なく語られた。
議論の基盤は、大きなものの性質は小さなものの性質と等しくなることを想定してからスタートした。
何故なら、「完璧に不正を行える人間は誰よりも幸せか」という「個人レベル」の問いに答えるには、ミクロから考えるには困難とされたからであった。
マクロが分かったので、
部分 (個人) は全体 (国家) の性質と等価であることを想定し、個人レベルの考察をスタートさせた。
調和が正しいこと (=善いこと) と等しいことは序盤で示された。
国民同士の喧嘩が分裂を生み、それが悪いことであるように、個人においても「理性」と「本能=欲望」が喧嘩することのないように「節制」が要求される。
このようにしてアナロジーを用いてひとつひとつ個人レベルの話を調べていく。
結論として、最高指導者は「哲学者」であるべきだとソクラテス (=プラトン) は語った。
個人レベルにおいても、正しい人間が秩序 (=調和) を保てると示されたからであった。
議論はまだ尽くされていない。
完璧に不正を遂行できる人間は誰よりも幸せになれるのか。
詐欺師は楽園に行けるか。
この答えは『国家 (下) 』に持ち越された。
つづく