人生は草「おお、哲子」
哲子「なに、人生は草」
人生は草「今日はひどいことを言われてしまったよ」
哲子「べつに、貴方ならよくあることでしょ」
哲子「で、なんて言われたの」
人生は草「貴方は本当に薄っぺらい人ねって言われてしまったよ」
哲子「ふーん」
人生は草「そりゃ、本当なのかもしれないけれども」
哲子「はっきり言うのね」
人生は草「だから僕はこう言ってやったよ」
哲子「なんて言い返したの」
人生は草「おやおや、それは致し方がない。ところがどうだね、薄っぺらいというのは、例えばティッシュのようなものだと言えるのではないかい」
哲子「たしかに、で?」
人生は草「ティッシュには体積はないかもしれないが、面積はあると思わないかね」
哲子「あるね」
人生は草「で、僕はティッシュよりも広い心は持っているとおもうのだよ。例え薄っぺ
らいものだとしても」
哲子「薄っぺらいんだったらそれ以上でもそれ以下でもないと思うけど」
人生は草「いやいや。そうではないのだよ。それはつまり、数字に直してみるとわかるではないか」
哲子「つまり?」
人生は草「高さが5cm、面積が50平方メートルの空間を1リットルの水で満たせると思うかい」
哲子「無理でしょ」
人生は草「僕の心の高さが1cmだとしても、面積が50平方メートルあれば、やはり1リットルの水で満たすことはできないのではないか」
哲子「まあそうなるね」
人生は草「つまりはだね、薄っぺらいのは高さだけの話であって、面積までは言及されていない。故に、この言葉、つまり薄っぺらい人ね、というのは実は何を言っているのかよくわからないのではないだろうか」
哲子「うーん、、、」
人生は草「どうだね?」
哲子「貴方、やっぱり屁理屈だよ」
人生は草「はっはっは。哲子には敵わないや」