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読書日記104

藤守『コミュニケーション資本主義と<コモン>の探求 : ポスト・ヒューマン時代のメディア論』東京大学出版会(2019年)を読む。

GAFAの台頭によってSNS等で人々の声が共有可能になり民主主義が強化されたかのように見える。

ところが負の側面もある。

例えば、ポピュリズムの強い社会における政治の場では「言論の闘争」ではなく、「支持を集めるための言論の闘争」となってしまっている側面がある。

 

 

また、ビックデータがどのように活用されているのかが明確には公開されていない。

そこに国民とビッグデータを保持する集団の「非対照性」が存在する。

第一章ではこの問題点を取り扱う。

 

 

まずポピュリズムをはじめとして、Twitter等では、発言の内容よりかは「誰が発言しているのか」に人は左右される。

ニュースサイトはアクセス数がそのまま収益に繋がる。

ゆえに、市場の原理としては当然、注目の浴びやすい記事が目につく位置にとどまることになる。

やがてその「目立つ記事」自体に「価値」が生まれることによって、「コミュニケーション」が資本主義化すると指摘されている。

 

 

それと同様にビッグデータも売買の対象である。

僕の記憶では、リクルート・ホールディングスは「内定辞退率」を商品として販売し、行政指導を受けている。

こういうことがこれからも多発するかもしれないと思うと、嫌気がする。

 

 

本屋さんにいけば「今、言葉が危ない」といった本置いてあるが、おそらく今述べたようなことが語られているだろう。

これらを鑑みれば確かに、言葉の重みが日々無くなっていくように感じる。

つづく