絵画は「面」のなかに、全てを凝縮させる。
文学は一枚一枚の紙に全てを凝縮させる。(電子書籍を除けば)
一枚一枚を巻物のように1枚にできるので、文学も「面」と言える。
キーワードは「翻訳」「解釈」である。
ベンヤミンによれば、作品には客観的に記述しうる、「本質」が作品に存在する。
それを「神の記憶」と読んだ。(紙だけに、というのは洒落である。)
『翻訳者の課題』は、その本質について考察された本である。
翻訳とは機械的にするものではなく、「本質が問われている」と考える立場からなされる作業であるべきだ、との理念のもとに考察されたものである。
というのも、絵画を複製するのは簡単であり、文学を理解できる形(=翻訳)に複製することは困難であるからである。
芸術は世界共通の言語であるが、文学はそうではない。
翻訳者には、文学を世界の共通語とする使命がある。
なんだか壮大な作業である。
しかしどちらも作者の「精神」が入り込んでいる。
接点としての精神。
つづく