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読書日記と哲学がメインです(毎日更新)

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

考える日々

タイトルが浮かばない時はとりあえずこのタイトルでいこうかなと思うところです。 さて、最近の読書体験からひとつ見えてくるものがあったので、少し紹介したいと思います。 社会学者ブルデューは著書『ディスタンクシオン』において、「ハビトゥス」という…

メルカリの出品を再開しました。

読書日記にて取り上げた本や、積読のままの本などを出品していきます。 今年はとにかく様々な本を買っては読み漁ってきました。 部屋には大量に本がたまっております。 部屋の景観が見苦しくなってきた点や、もっと別の本を読み漁りたいので、その資金繰りの…

読書日記235

原田和広『実存的貧困』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 承認と就職活動について書かれていた。 本書では、人から褒められた経験が少ない人はパワーレス (≒無力感、無気力) に陥るリスクがあることが示唆された。 萎縮してしまい、1社落ちただ…

幸田真音『ナナフシ』読了

こちらの本を読み終える。(ネタバレなし) nainaiteiyan.hatenablog.com 変化の激しい癌と変化の激しい金融業界は似ている。 これ以上利益が見通せない場合は損切りし、諦める勇気を持たなければならない。 それと同じで、癌治療も効果がないと判断できそる場…

読書日記234

佐藤郁哉『大学改革の迷走』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 今日は大学院に関する章を読んでみた。 高学歴の人材がフリーターになってしまう「高学歴ワーキングプア」という言葉がある。また、そんな背景があってか、日本では「博士離れ(=院…

読書日記233

堀内進之介『善意という暴力』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 堀内氏は、依存症の根本原因は個人ではなく社会にあると見る。 例えば、20世紀の思想家ジル・ドゥルーズと精神科医であったフェリックス・ガタリは、精神分析と心理学について、…

読書日記232

佐藤郁哉『大学改革の迷走』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com この本は資本主義と官僚制の縮図を端的に表しているなと感じた。 政策文書に「KPI」「PDCA」などの「和製英語」が続出。 著者によれば、「PDCA」は工場に関する概念のようなもので…

読書日記231

佐藤郁哉『大学改革の迷走』ちくま新書 (2019年) を読む。 今月は政治哲学や経済についていろいろ思いをめぐらせてきた。 ダニエル・サスキンド氏の本に刺激され、僕は教育に何か可能性を見出せないかと考え、まずは今日の大学事情を把握することに努めよう…

読書日記230

堀内進之介『善意という暴力』幻冬舎新書(2019年)を読む。 社会心理学の視点から正義やバッシング等について書かれた本である。 興味を持ち読む。 ポール・ブルームは著書『反共感論』において、共感を道徳心の指針としてはならないと書いた。人間には「スポ…

雨宮処凛『この国の不寛容の果てに 相模原事件と私たちの時代』読了

こちらの本を読み終える。 nainaiteiyan.hatenablog.com 本書を読み終えて率直に感じたことは、「やっぱり人間って分からないなあ」というものだった。 例えば、延命治療を望まない患者が、他人に迷惑をかけたくないからという理由であったりすることがしば…

ダニエル・サスキンド『AI時代の新「大きな政府」論』読了

こちらを読み終えた。 nainaiteiyan.hatenablog.com 後半はAmazon等の大企業が世界に与えるのは、経済的支配ではなく政治的支配である点について考察された。 あまり公にならないが、Amazonやアップルのような大企業は度々裁判沙汰になることがあった。 アル…

読書日記229

雨宮処凛『この国の不寛容の果てに』のつづきをよむ。 nainaiteiyan.hatenablog.com 今週、また同じ悲劇が繰り返された。 飛び降り自殺を行った人に「一人で死んでくれ」といった意見が出た。 僕は考えた。 結論は、「批判の対象が間違っている。」であった…

読書日記228

ダニエル・サスキンド『AI時代の新「大きな政府論」のつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com AIと教育に関する章を読んだ。 アメリカのある経営者が、教育の無価値性を鑑みて、「大学に進学しない、もしくはを中退する者に10万ドルを支給します…

読書日記227

ポール・クルーグマン『ピケティ以後:経済学と不平等のためのアジェンダ』青土社(2019年)を読む。 ピケティ『21世紀の資本』を多角的に分析する本に興味を持った。ピケティを再検討するべく多くの学者を集めて論文を一冊にまとめ、編集されたものである。 …

読書日記226

オリヴィエ・ブランシャール『格差と闘え 政府の役割を再検討する』のつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 逆の視点で、「どうすれば格差を正当化できるか」という点から考察がなされる。 スキャンロンによれば、機会の平等 (教育や就労等) は…

読書日記225

石戸諭『東京ルポルタージュ:疫病とオリンピックの街で』毎日新聞出版(2021年)を読む。 自粛のなかで人々がどのようなことを考えていたり、行動をしていたりしていたのかが赤裸々に語られる。 仕事上、人との接触がメインである職は概ね自粛を迫られ、自宅…

政治哲学とAIについてふり返る

プラトン『国家』を読み終えたあと、様々なことに思いを巡らせた。 正義とは何か。 ロールズの『正義論』は全く効果を出していないのでは、そう思うような気がしてならない。 そこにはジェンダーやマイノリティに対する偏見が隠れていたり、制度が不備なとこ…

読書日記224

ダニエル・サスキンド『AI時代の新「大きな政府論」』のつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com ピケティが示したデータ等を参考にしながら著者は格差についていろいろと述べた。 まず、ジニ係数 (0⇒完全に平等、1⇒完全に不平等) は世界規模で上…

読書日記223

斎藤孝平『人新世「資本論』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 本書を読み進めると、斎藤氏の構想の輪郭が見えてくる。 彼は思想家スラヴォイ・ジジェクの意見を参考にしながら、政策や法整備の有効性について疑問視をする。 政府が主導するやり…

読書日記222

ケヴィン・スコット『マイクロソフトCTOが語る新AI時代』ハーパーコリンズ(2021年)を読む。 経営者目線からAIについての見識を得ようと考え、最近購入した。 こちらを導入部分から50ページほど読み込む。 経営者も経済学者同様に、一定の意見を共有している…

読書日記221

オズワルト・シュミッツ『人新世の科学:ニュー・エコロジーがひらく地平』岩波新書(2022年)を読む。 「生態学 (エコロジー) によって人は環境を管理することができる」と断言してしまう、ある意味恐ろしい本を見つける。 また、持続可能な経済活動に関する…

読書日記220

斉藤幸平『人新世の「資本論」』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 斉藤氏によれば、経済成長と環境負荷低減の同時達成、いわゆる「デカップリング」は市場の原理では起こり得ないとする。 『石炭問題』で示されたのは、技術の効率化や炭素の廉…

読書日記219

斎藤孝平『人新世の「資本論」』集英社新書(2020年)を読む。 本書は新書では最近もっとも売れた部類に入る有名な本である。 SDGsに対して懐疑的で、日本における「脱成長派」の代表格とも言える。 斎藤氏は「オランダの誤謬」というものを挙げる。 これは、…

読書日記218

ダニエル・サスキンド『AI時代の新「大きな政府論」』のつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com Aiが世界中の国々で「不均等」に普及していくプロセスが、イギリス産業革命の例をもとに説明される。 なぜ産業革命はイギリスで起きたのか。フラン…

読書日記217

オリヴィエ・ブランシャール『格差と闘え 政府の役割を再検討する』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 三章まで読んでみたが、本書は政治、経済、倫理、政治哲学を包括的に扱い、政治経済に関心のある方のみならず、哲学に関心のある方にもおす…

不可避的に承認を社会に要請する努力の性質について

努力という言葉について以前考察し、結論を出した訳ですが、ここ最近思うことを書いてアップデートをしたいと思います。 nainaiteiyan.hatenablog.com というのも、昨日の適性検査に「つねに目標を達成してきた」という質問項目があり、「そう思う」とも思え…

読書日記216

ダニエル・サスキンド『Ai時代の新「大きな政府論」』の100ページまで読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 新しい発見がいくつもあった。 例えば、AIと人間の知能はもはや別物であるという見方である。 それはつまり、猿の言語は猿にしか理解できず、…

読書日記215

雨宮処凛『この国の不寛容の果てに』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 本書で、古市憲寿氏と落合陽一氏が対談で、「日本にはもう財源がないので終末期医療はやめなければならない」という意見が交わされていたことが紹介され、僕はゾッとした。…

松本俊彦『誰がために医師はいる クスリとヒトの現代論』読了

こちらを読み終える。 nainaiteiyan.hatenablog.com この本を読んで分かったことは、人を信じることができなくなると危険であるということであった。 いじめを受け、かつ大人が信じられない状況になると、誰も信じることができなくなり、物質に依存する。 こ…

読書日記214

ダニエル・サスキンド『AI時代の新「大きな政府論」』みすず書房 (2022年) を読む。 本書はテクノロジーと失業の関係について歴史的に考察された本である。 序文から50項弱まで読み進める。 機械と失業の関係を歴史的に見ると、いつの時代も必ず失業者を増や…