はてなブログ大学文学部

読書日記と哲学がメインです(毎日更新)

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ヘーゲル『実践哲学』の導入部分から

こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 前回は『人倫の体系』と『精神現象学』との関係性についてまとめた。 ヘーゲルはイェーナ期においてフィヒテ、ホッブズ、シェリングの哲学から吸収しつつ独自に解釈し直す方法で、1807年に『精神現象学』を発表…

イメージできるけど描けない。では描ける人は夢の光景を完璧に再現できるのか。

僕はそうは思わない。 描くこと以外にも、知っているつもりで知っていない、ということが見受けられる。 つまり、夢の内容を知っているつもりでも実は知らない可能性がある。 僕の経験では、夢を再現した人物はいない。 もしかしたらいるかもしれないので調…

ゲシュタルトと閾値

僕のブログにたまたま遭遇して、ゲシュタルトという概念を初めて聞く方がいるかもしれない。 もう10記事以上書いていると思うので割愛したい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ゲシュタルトは魔術的で不思議な概念に思える。 しかし、最近はそう…

消去と上書き。目的と手段。

アルコール依存症というものがある。 僕は時々飲むワインが好きで、毎日は飲みたくない。 毎日飲まないと駄目になってしまう、そんな状態が依存症を強めるかもしれない。 病院は病気を治すことが目的であって、それを超えることはほぼない。 というのも、医…

必然的にBを必要とするA

二次元しか分からない生物がいたとしたら、穴を理解できないだろう。 昔読んだ本に、口はどこか?という哲学的な問いがあった。 穴はある意味対比である。 穴は平面上の窪みであるならば、必然的に平面を必要とする。 平面なしに穴はない。 ただの空間に穴は…

ヘーゲル『実践哲学』までのまとめ

こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 前回をざっくりまとめると、ヘーゲルは承認形成には3つの過程があるとした。 家庭において自己形成・自立へ経て、所有権の闘争、名誉をめぐる闘争の3段階からなるとした。 つづきを書いていく。 ーーーーーーー…

久々に明晰夢をみる

本日、久々に明晰夢をみた。 夢のなかでなんらかの面倒くさい仕事に追われていた。 ところが僕は悟った。 「これは夢に違いない。」 そうして安心感を得たわけではあるが、完璧な明晰夢とはほど遠い内容であった。 というのも、夢とは理解できたように思える…

承認・うつ病・能力主義

こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 病名を与えることは承認にはなり得ない 「僕は発達障がいだったんだな、とわかったときに、何だかホッといたしました」 とい…

表面積と問題。性と功利主義。

参考文献:仲正昌樹『フーコー<性の歴史>入門講義』作品社 2020年 僕は表面積と問題解決について以前記事にした。 nainaiteiyan.hatenablog.com 問題を解決にするために必要な「問題の細分化」は、細分化によって表面積が増え、可視できる領域が増えるので、…

佐藤優/杉山剛士『埼玉県立浦和高校 人生力を伸ばす浦高の極意』読了

久々に新書を読んでみた。 以下、内容と感想をざっくりとまとめたい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー [内容] 現役浦高生とその母親に対して、OBである元外交官の佐藤優氏が「真のエリート」になるにはどうしたらい…

承認形成の3つの過程

こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 前回をざっくりまとめると、ヘーゲルは、マキャベリやホッブズが前提とした社会存在に異を唱えた。 彼らは「原子論」的な人間観を想定しており、つまりは人間の本性を「自己中心的」であると「単純化」すること…

トートロジー的欲求

科学者には知的好奇心が相対的に強い人が多いと思う。 比較できるものではないが、僕もそこそこ知的好奇心は強いと感じている。 何のためか。 科学は実用的であるので、理由としてはやはり「世のため人のため」と説明されることが多いだろう。 しかし、それ…

形式的無意識の矯正

レイシズム(人種差別)はどのようにして解消されていくのか。 僕は「意識」と「無意識」の領域についてまず考える。 ある人種に対して「怖い」という感情が生まれると仮定する。 この感情は「無意識的」なものであると考えられる。なぜならば、「怖い」という…

原初的な闘争モデルの再解釈

こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 前回をざっくりまとめると、ヘーゲルは、マキャベリとホッブズが想定した人間社会を「無機的 = フィクション」として、実体とは違うと考えた。 人間の本性は「非人倫的な統計」とヘーゲルは考え、彼らの想定した…

パニック症・条件・コマンド入力

僕はパニック障害が生まれる条件というものを解明したい。 精神医学のやっていることは生理学的観点、脳科学的観点の研究に限定されている節がある。 それは自然の秩序、システムを「説明」するに留まると思われる。 その後、「○○が原因ではないだろうか」と…

夢の中でイデア論を語る

まだ明晰夢は見れていない。 しかし記憶はしっかりと取り続けている。 今日の夢も相変わらず、複数の場面が記録・確認された。 なかでも、イデア論について語る夢は明確に記憶している。 「イデア論に改善の余地はあるか」という議題であった。 イデアとはプ…

『承認をめぐる闘争』読解 導入部分

こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com さっそく本題に入る。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 別の記事に書いた通り、ここで書いていく「承認」とはマズローの「承認欲求」のお話ではなく、ヘーゲル『精神現象学』…

『承認をめぐる闘争』を先に読解します

こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com ホネットの反論を要約しようと頑張って読んだものの、 先に、 『承認をめぐる闘争』を読んでおかないと理解不可能と判断しました。 というのも、『再配分か承認か?』は、『承認をめぐる闘争』よりもあとに発行…

考えるヒント29

細分化は表面積を増大させる 物事をどれだけ捉えられているのかを、幾何学的に考えてみる。 見えている部分、分かっている部分を「面積の総量」として考えてみる。 問題解決能力は、人間が持つ認知能力において、最も高度で複雑なものとされる。 「人間力 ≒ …

徳倫理学の力量を問う

落合陽一氏が語るように、本当にテクノロジーの力によってのみ世の中は前に進むのだろうか。 であれば、何のために理数系以外の科目が存在するのだろうか。 例えば、この時代においては、もはや「徳倫理学」は暇人による暇人のための遊びなのだろうか。 この…

うつ病と承認

今、承認論を読解している最中である。 nainaiteiyan.hatenablog.com というのも、「社会的うつ」という言葉からわかるように、うつ病は社会的な要因のほうが割合が高い、というのが僕の率直な意見。 うつ病を説明するときに、生物社会心理モデルというもの…

every moment 読書

はてなブログ10周年特別お題「私が◯◯にハマる10の理由」 読書は文字という特殊な散歩道をわたること 今までにない感覚を覚えるときもあれば、イライラするときもある。 人は歩く生き物なので、文字を歩くことも大事である。 人は言葉でできている 思考はほぼ…

夢の研究2

本日は、約10の場面を記録することに成功した。 まだ夢の中で夢を意識するのは無理であると感じている。 しかし、鮮明な夢を見ることはできている。 内容は誰でもみるような、取るに足らない話であった。 ただ、なんとなく物語のような順序付け、秩序を感じ…

「考えない」ことの不可能性について

以下、学術的な根拠としてではなく、僕の考えとしての記述。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 赤ちゃんの頃の記憶が無いのは、言語の未獲得ゆえに、日常を認識し、「記憶のまとまり」として「切り取る」ことができないため…

夢の研究始めます

『夢の操縦法』という衝撃的な本に出会いました。(オカルトではありません。国書刊行会という、ちゃんとした出版社から出ている本です。) もともと明晰夢を何回かみた経験もあり、僕は夢の日記をつけ始めました。 今日、「夢の中でその夢について記録しよう…

ホネットの反論まで

こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 前回をざっくりまとめると、 「平等の参加」が前提となる議論において、社会的コンフリクト(争い)が発生する原因を特定するための基準として、変数をしっかりと見定めることが重要だと述べた。 変数は多様であり…

フラクタルにフラクタルを重ねる

こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 世の中、魅力的な異性を「優良物件」と言う方がいるみたいだ。 人間世界はもはや「アナロジー」であり「フラクタル」である。 関数と同じ。 nainaiteiyan.hatenablog.com つまりは、xに「優良物件」を代入すると…

距離と逆説

参考文献:松本千『38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみたヤバい結果日記』幻冬舎2021年 アプリが人との距離を極端に縮める。 メッセージが音速を超えるスピードで届く。 いつでもどこでもすぐ会える。 飛行機が生まれ「地球は狭くなった」と言わ…

肯定的是正アプローチの可能性

こちらのつづき nainaiteiyan.hatenablog.com 議論は相変わらず複雑であり、まとまりに欠けるところもあるが、最後までやり通したい。60点を狙うつもりでやっていく。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 前回をざっくりま…

スキージャンプと3次関数

特に意味はないのですが、スキージャンプのスタートから着地までの軌道が3次関数の標準的な軌道とそっくりだなと思いました。 世の中、アナロジーが多すぎて面白くて見つけるのが楽しい毎日です。 nainaiteiyan.hatenablog.com つづく